伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

東京タワー オカンとボク、時々、オトン

2008-02-26 09:11:25 | 小説
 九州の斜陽の街で母親の女手一つで貧しくとも特に不自由することなく育てられながら東京で自堕落な生活を重ねギャンブルや酒に溺れて知人や母親に金を無心する放蕩息子が、癌を患った母親を東京に呼び寄せ看取るまでの小説。
 苦労しているはずなのに明るい母親と負い目を感じるボク、節目節目に現れるずっと別居の父親の関係と思いを描いた作品です。
 時折はさまれるコミカルな文章とほろりとさせるエピソードが巧い。ベストセラーとなったのもうなずけます。
 私の年齢の問題もあり、前半は親の目で読んでこのバカ息子がと思い、主人公の年が自分に近づいてくると主人公の目で読んでしまうのが、少し情けなかったのですが。
 節目節目で「五月にある人は言った」というフレーズと言葉の引用が置かれ、何度も繰り返されるので、ここまでやればラストかその近辺にそのある人が絡んだ仕組みが用意されているだろうと思って読み進めたのですが、それがないので、特に悪いラストとは思わないのですが、不満足感が残りました。


リリー・フランキー 扶桑社 2005年6月30日発行
コメント
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