伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

タイムデザイン

2013-05-13 19:48:38 | 実用書・ビジネス書
 現在の生活よりも時間に縛られないライフスタイルで過ごせるようになることを目標に、時間の有効活用を論じる本。
 学びや自己投資のための「インプットの時間」、仕事や料理等の「アウトプットの時間」、食事や風呂や睡眠などの「生活の時間」、自由に使う「プライベートの時間」の4つにわけ、前2者では効率的な使い方を、後2者では楽しいかどうか、心地よいかどうかを基準にすることを提唱しています。
 自己投資では、自分の得意なところ、長所を伸ばすことに投資し、苦手の克服は時間をかけてゼロでは割に合わないから人と協力するなどのアウトソーシングで対応する、長く使え高く売れるストック型スキルを身につけるよう努力するということが提唱されています。この分野では度々弁護士が高く売れるスキルの代表として上げられていますが、弁護士業界もいつまで持つかなぁという昨今のご時世です。10年先を見越して考えろという著者が、今からスキルと身につけてということでお薦めできるのだろうかと、業界人としてはちょっと疑問も。それはおいて、肉体労働の1時間1000円とか900円と弁護士の1時間1万円は買う側にはそういう比較になるでしょうけど、売る側で見ると給料をもらう人はもらった額そのままが所得でも弁護士のような自営業者は経費負担があるのでもらった分がまるまる所得ではないことが度外視されているのはちょっとなぁと思います。この本では、お金を稼ぐ側の視点でいっているわけですから、実所得で考えるべきだと思うのですが。
 仕事の分野では効率化して自由時間を増やす話ですが、1時間の会議を15分にする方法(60~65ページ)には、疑問を持ちました。資料の事前配付や事前に読む本を指定したり参加者の事前調査などでは、会議自体の時間は短くなり効率化が図れるとしても、その分事前準備時間が増え各個人の自由時間の増加につながるとは思えません。ビジネス書としての会議の効率化ならそれでいいでしょうけど、自由時間を作るための効率化を主張する本でそれではね、と思います。
 発想としてはおもしろいところがあるのですが、1日8時間労働年120日休暇とすると1年のうち75%が自分でコントロールできる時間(6ページ)ってそもそも睡眠時間はどうするよとか、残業休日出勤一切なしの職場がどれだけあるよと思うところや、人の労働を買って時間を作るとか、基本的には自分が経営者でお金が十分あるという前提で話を進めているところが多々あって、具体的にこの本が「使える」読者はかなり少なそうな気がします。ちょっとだけ発想を自由にする、というあたりで参考にするというのが適切な読み方かなと思いました。


泉正人 フォレスト出版 2013年4月2日発行
コメント
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