長崎の海辺の町で育ち東京の大学に入った学生横道世之介の大学1年生の生活と知人たちが中年になって振り返るエピソードで構成する青春小説。
「昔の小説の主人公で理想の生き方を追い求めた男の名前」に由来する(16ページ)名前と、素朴なひたむきさが周囲と少しずれているためにコミカルに見える世之介と、知人たちとの交友関係を描き、そのエピソードがコミカルでずれてる感はあるもののたいていの読者には学生時代に自分も似たようなことしてたよなとか似たような友達がいたよねと思わせてくれるところが巧みなところです。言い換えれば、多くの人が学生時代に経験したようなエピソードを少しずらせてコミカルに描いた作品といってよいでしょう。
そういう目で見ると、好き好きオーラを放つ世間知らずで気が強くて純情で正義感のある、結果少しずれた祥子ちゃんに一直線で行かずに結局は「もう原因も思い出せないような些細な喧嘩から」(375ページ)別れてしまうことや、怪しげな魅力の年上の千春に惹かれてしまうことも、学生時代だったらそうだよなぁ/そうかもと思います。今だったら…う~ん、危なそうな話はやめておきましょう(‥;)

吉田修一 毎日新聞社 2009年9月20日発行
映画の感想は「映画な週末」の2013年5月3日の記事で紹介しています。
「昔の小説の主人公で理想の生き方を追い求めた男の名前」に由来する(16ページ)名前と、素朴なひたむきさが周囲と少しずれているためにコミカルに見える世之介と、知人たちとの交友関係を描き、そのエピソードがコミカルでずれてる感はあるもののたいていの読者には学生時代に自分も似たようなことしてたよなとか似たような友達がいたよねと思わせてくれるところが巧みなところです。言い換えれば、多くの人が学生時代に経験したようなエピソードを少しずらせてコミカルに描いた作品といってよいでしょう。
そういう目で見ると、好き好きオーラを放つ世間知らずで気が強くて純情で正義感のある、結果少しずれた祥子ちゃんに一直線で行かずに結局は「もう原因も思い出せないような些細な喧嘩から」(375ページ)別れてしまうことや、怪しげな魅力の年上の千春に惹かれてしまうことも、学生時代だったらそうだよなぁ/そうかもと思います。今だったら…う~ん、危なそうな話はやめておきましょう(‥;)

吉田修一 毎日新聞社 2009年9月20日発行
映画の感想は「映画な週末」の2013年5月3日の記事で紹介しています。