ウィルスについてのあれこれを解説した本。
インフルエンザでは通常免疫力が弱い子どもや高齢者が犠牲になりやすいのに1918年の世界的大流行(いわゆるスペイン風邪)では免疫力が強い人たちが犠牲になった。その理由は今もわかっておらず、免疫系統にあまりにも激しい反応を引き起こすためにウィルスを叩きのめすよりも宿主自身を破壊する結果になるという説もあり、そうではないだろうという説もある(36~37ページ)。致死率が非常に高いエボラ出血熱の場合、病原性があまりにも強いため新たな宿主を見つけるよりも早く現在の宿主を殺してしまい、大流行にはならずに、通常は数十人が死んだところで終息し、ウィルスは数年間姿を現さない。本当に怖いのは致死率が高いウィルスよりも、致死率は低くても大勢の人に感染が広がるウィルス(166~169ページ)。というような、ウィルスに関するうんちくが、読みやすく書かれています。
比較的軽いウィルス感染症や細菌感染症にかかった子どもは成人後にアレルギーやクローン病などの免疫系疾患にかかりにくく、風邪の原因であるヒトライノウィルスなどのウィルスは人間に利益があるという面もある(31ページ)とか、受精卵が胎児となり胎盤を形成する際には人類がかつてゲノムの中に取り込んだレトロウィルスの遺伝子が重要な働きをしていて人間が子宮内で胎児を育てられるのはウィルスの遺伝子のおかげともいえる(114~118ページ)なんてことも書かれていて、勉強になるというか、人間って生き物って不思議でいろいろなものと共存してるのだなと思いました。
旧ソ連は天然痘ウィルスの生物兵器を研究していたが、ソ連崩壊後その研究所は遺棄され、貯蔵されていた天然痘ウィルスの行方は不明だ(182~184ページ)とかいう由々しい/嘆かわしい話もありますが…
原題:A PLANET OF VIRUSES
カール・ジンマー 訳:今西康子
飛鳥新社 2013年2月26日発行 (原書は2011年)
インフルエンザでは通常免疫力が弱い子どもや高齢者が犠牲になりやすいのに1918年の世界的大流行(いわゆるスペイン風邪)では免疫力が強い人たちが犠牲になった。その理由は今もわかっておらず、免疫系統にあまりにも激しい反応を引き起こすためにウィルスを叩きのめすよりも宿主自身を破壊する結果になるという説もあり、そうではないだろうという説もある(36~37ページ)。致死率が非常に高いエボラ出血熱の場合、病原性があまりにも強いため新たな宿主を見つけるよりも早く現在の宿主を殺してしまい、大流行にはならずに、通常は数十人が死んだところで終息し、ウィルスは数年間姿を現さない。本当に怖いのは致死率が高いウィルスよりも、致死率は低くても大勢の人に感染が広がるウィルス(166~169ページ)。というような、ウィルスに関するうんちくが、読みやすく書かれています。
比較的軽いウィルス感染症や細菌感染症にかかった子どもは成人後にアレルギーやクローン病などの免疫系疾患にかかりにくく、風邪の原因であるヒトライノウィルスなどのウィルスは人間に利益があるという面もある(31ページ)とか、受精卵が胎児となり胎盤を形成する際には人類がかつてゲノムの中に取り込んだレトロウィルスの遺伝子が重要な働きをしていて人間が子宮内で胎児を育てられるのはウィルスの遺伝子のおかげともいえる(114~118ページ)なんてことも書かれていて、勉強になるというか、人間って生き物って不思議でいろいろなものと共存してるのだなと思いました。
旧ソ連は天然痘ウィルスの生物兵器を研究していたが、ソ連崩壊後その研究所は遺棄され、貯蔵されていた天然痘ウィルスの行方は不明だ(182~184ページ)とかいう由々しい/嘆かわしい話もありますが…
原題:A PLANET OF VIRUSES
カール・ジンマー 訳:今西康子
飛鳥新社 2013年2月26日発行 (原書は2011年)