伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

トラブル事案にまなぶ「泥沼」相続争い解決・予防の手引

2020-11-05 22:27:53 | 実用書・ビジネス書
 相続紛争でありがちな事例・問題を挙げて予防のために遺言作成等の対策と早期の弁護士への相談を勧める本。
 問題に応じてシンプルにした事例が紹介され、わかりやすく参考になりました。海外在住の人の印鑑証明がないので代わりに署名証明書を作ってもらう話(87ページ)とか、大正時代からの遺産分割協議未了の相続で相続人が50名近いケース(58~60ページ)とか、遭遇したくないですけど、こういう紹介を見ると、間違って当たってもなんとかやれそうな気になれます。
 相続人が行方不明のとき(相続人に認知症患者がいるときも同じでしょうね)に遺産分割協議ができないので、公正証書遺言を作成しておくべきという助言(225~226ページ)や、高齢の親の囲い込み(同居の親族が面会もさせてくれない)への対応(といっても難しい:181~191ページ)、相続放棄をしても朽廃家屋の管理責任が残るので相続財産管理人選任が必要となる事例(195~200ページ:それも金がかかるし…)などは、これからそういう問題が増えていきそうです。
 遺言の無効を主張することは非常にハードルが高いこと(120~122ページ)、相続廃除のハードルは極めて高いこと(170~177ページ)は、弁護士としては、いくら強調しても、し足りないほどです。
 行政書士(72~78ページ)、司法書士(101~104ページ)、弁護士でもとんでもないヤツ(78~79ページ)に依頼するな、最初から相続案件を得意とする弁護士に相談するようにと、セールストークが強すぎるのが鼻につきますが、相続問題に関心がある人は読んでみて損はないかなと思います。


加藤剛毅 中央経済社 2020年10月15日発行
コメント
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