固定資産税課税のための地目(宅地、田、畑、山林、雑種地等)の認定と、土地の価格の評価について、写真付きの具体例を挙げて解説した本。
地目認定に当たっては現況(現在の利用状況)が重視されるとしつつ、宅地の建物を取り壊して果樹等を植えた場合には、当分は宅地のままで相当年数が経過しないと畑等には認定されず、他方、農地(田、畑)が転用許可を受けると現況が田畑のままでも直ちに宅地と認定されたり、山林に果樹が植栽されると相当期間の経過を待たずにすぐに畑を認定されるというのは、著者の意見というよりも、不動産鑑定士として市町村の地目認定実務の見通しを述べているのでしょうけれども、基本的に課税当局に都合がいい(多額の課税ができる)ように認定がされていると感じられます。この本では課税の公平性という言葉が多用されていますが、その多くは、課税逃れは許さないという方向で使われているように思えます。そうでない場合も、端的に言えば周囲の土地との均衡ということを言っており、そうするとその土地の現実の利用状況(現況)よりも周囲の土地利用に重きが置かれてしまい「現況主義」というのはお題目に過ぎないのではないかとも思えてしまいます。よかれ悪しかれ固定資産税課税とそのための地目認定はそのようなやり方をしているということを学ぶべきなのでしょう。
ビニールハウスレベルでない永続性のある建物(鉄骨組の温室等)内で野菜等を栽培しているときに、土を耕して植えていれば畑と認定されるが、プランター等で栽培していれば宅地と認定するというのも、そういう基準が示されているからそう判定するのでしょうけれども、あまり常識的ではない、あるいはいかにもお役所的な発想に思えます。
土地の価格の評価についても、せっかく不動産鑑定士が写真付きの具体例を挙げるのですから、標準的な土地(標準的な宅地、標準的な田畑等)に補正係数をかけるなどして評価するという場合、具体的にその補正係数の考え方を示して欲しいところです。その点は、パターン化されたものについていくつか一般的な数字が示されているだけで、具体的なケースについて考慮した係数の説明例がわずかしか見られなかったのが残念です。
山本一清 ぎょうせい 2020年7月31日発行
地目認定に当たっては現況(現在の利用状況)が重視されるとしつつ、宅地の建物を取り壊して果樹等を植えた場合には、当分は宅地のままで相当年数が経過しないと畑等には認定されず、他方、農地(田、畑)が転用許可を受けると現況が田畑のままでも直ちに宅地と認定されたり、山林に果樹が植栽されると相当期間の経過を待たずにすぐに畑を認定されるというのは、著者の意見というよりも、不動産鑑定士として市町村の地目認定実務の見通しを述べているのでしょうけれども、基本的に課税当局に都合がいい(多額の課税ができる)ように認定がされていると感じられます。この本では課税の公平性という言葉が多用されていますが、その多くは、課税逃れは許さないという方向で使われているように思えます。そうでない場合も、端的に言えば周囲の土地との均衡ということを言っており、そうするとその土地の現実の利用状況(現況)よりも周囲の土地利用に重きが置かれてしまい「現況主義」というのはお題目に過ぎないのではないかとも思えてしまいます。よかれ悪しかれ固定資産税課税とそのための地目認定はそのようなやり方をしているということを学ぶべきなのでしょう。
ビニールハウスレベルでない永続性のある建物(鉄骨組の温室等)内で野菜等を栽培しているときに、土を耕して植えていれば畑と認定されるが、プランター等で栽培していれば宅地と認定するというのも、そういう基準が示されているからそう判定するのでしょうけれども、あまり常識的ではない、あるいはいかにもお役所的な発想に思えます。
土地の価格の評価についても、せっかく不動産鑑定士が写真付きの具体例を挙げるのですから、標準的な土地(標準的な宅地、標準的な田畑等)に補正係数をかけるなどして評価するという場合、具体的にその補正係数の考え方を示して欲しいところです。その点は、パターン化されたものについていくつか一般的な数字が示されているだけで、具体的なケースについて考慮した係数の説明例がわずかしか見られなかったのが残念です。
山本一清 ぎょうせい 2020年7月31日発行