伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

実践 自分で調べる技術

2020-11-19 20:54:58 | 人文・社会科学系
 市民が自分で関心を持ったテーマについて、自分の手で調査するためのノウハウを説明し、様々なことについて自分で調べてみることを勧める本。
 第2章で文献(雑誌記事・論文、本、新聞記事等)調査のノウハウが説明されていて、いろいろと知らなかった検索方法や媒体を知ることができます。この部分だけでも、読む価値があると思いました。
 この本では、文献調査に加えて、関係者への聞き取りや測定等のフィールドワークに相当な紙数を割いています。聞き取りでは、聞き取りという作業自体が聞く人と聞かれる人(話す人)の相互作用であることが指摘されています(126~127ページ)。同じ人が同じテーマで話したとしても、聞く人の聞き方、質問内容、関心のあるポイントや方向性によって、話される内容が大きく違うという指摘は、なるほどと思います。仕事がら、証人尋問の結果が、どこまでの材料がありそれをどう検討して何をどういう順番でどう聞くかでまったく異なるということは常日頃感じていますし、さらに言えば、法律相談も、特に相談者が証拠資料をほとんど見せずに聞くような場合、相談者が話した事実と相談者が聞いた質問に応じて、全然異なるものとなり得ます(だから、役所の無料相談とかどこかの電話相談で弁護士にこう言われたという相談者がいても、それはそう答えるしかないような聞き方をしたんだろうと思うことが多々あります)。
 聞き取り調査に加えてさらに科学的な測定まで、一般人にはかなりハードルの高い調査も、やってみようと勧める著者の志に敬意を持ちます。ただ、本当に実践するのは厳しいかなと感じ、私には、とりあえず『国会図書館サーチ』をブラウザのブックマークバー(この名前で Google Chromeを使ってるのがバレますね)に入れたのが成果というところです。


宮内泰介、上田昌文 岩波新書 2020年10月20日発行
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