伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

あの場所の意外な起源 断崖絶壁寺院から世界最小の居住島まで

2020-11-23 21:03:12 | 人文・社会科学系
 著者(この本では著者紹介がまったくありませんが、作家・文明評論家だそうです)の好みにより選ばれた45の「思いがけない場所」を1か所4ページで紹介した本。
 邦題の「あの場所の意外な起源」だと、有名な場所について、その起源を説明しているように見えますが、原題は " Atlas of the Unexpected " で、思いがけない場所の紹介をしているものです。
 紹介されている場所は、ポンペイやガラパゴス諸島、ラスコー洞窟などの有名なものもありますが、多くは、私には初めて聞くような場所で、それ自体で興味深く読めました。1か所4ページで原則として地図が1ページ、本文が1ページ半~2ページ、写真が1~2ページ(写真に本文がかぶっているものもあるので)となっています。構成として地図が無駄に大きいというか、地図から得られる情報が少ないものが多く、地図を工夫して半ページくらいにした上でもっと見やすくしてもらい、その分写真をもっと増やしてもらった方がいいと思いました。ナショナルジオグラフィックなんだし、写真はもっといいのを載せられると思うんですが。
 自然環境による絶景中心ということではなく、人工的な場所が多くなっています。権力者の政治家や富豪の愚かな行為のなれの果てや、欲望の夢の跡が紹介されているのもいいところかと思います。世界のあちこちにありそうな話ですが、地上げに頑として応じずに大きな百貨店の建築を歪めさせた事例として紹介されているシュピーゲルハルター宝飾店(108~111ページ)も、「庶民にとって不朽の偉業」と呼ぶべきかはさておき、庶民の弁護士としては、なんとなく快哉を叫びたいところです。


原題:Atlas of the Unexpected
トラビス・エルボラフ、マーティン・ブラウン 訳:湊麻里、鍋倉僚介
日経ナショナルジオグラフィック社 2020年10月26日発行(原書は2018年)
コメント
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