歩行者が被害者となる交通事故について、統計や心理学的な考察を中心に、どのような場面で起こりやすいか、歩行者事故が多い子どもの特性と死亡事故が多い高齢者の特性、歩行者事故を防ぐために何をすべきか等を解説し論じた本。
2018年の交通事故総合分析センターのデータでは、歩行者の死傷事故5万0756件のうち1万6267件は横断歩道横断中(115~116ページ)、道路横断中の事故のうち人身事故は横断歩道横断中が多い(横断中の56%)(170ページ)って、酷くない?
歩行者用信号の待ち時間表示が赤信号無視を減らし(青信号を待つイライラを減らす)赤信号になった時の残留歩行者を減らす(赤信号になるまでの時間を表示することで渡りきるめやすを与える)効果がある(125~126ページ)が、外国では残り時間を数字で示す方式もあり著者の経験では残り時間の数字の減少に目を奪われて左右から来るかも知れない車への注意がおろそかになった気がするという指摘(126ページ)は、なるほどと思えました。横断歩道上の歩行者の存在を感知して青信号の時間を延長する信号も出てきた(156~157ページ)というのは、歩行者目線ではありがたいことです。車の運転者からはけしからんことかも知れませんが。
連載を単行本化したことからか、様々な点から紹介があり有益な情報がある一方で、有機的体系的に論じていく展開になっていないように感じられました。
松浦常夫 東京大学出版会 2020年7月31日発行
「交通安全教育」連載
2018年の交通事故総合分析センターのデータでは、歩行者の死傷事故5万0756件のうち1万6267件は横断歩道横断中(115~116ページ)、道路横断中の事故のうち人身事故は横断歩道横断中が多い(横断中の56%)(170ページ)って、酷くない?
歩行者用信号の待ち時間表示が赤信号無視を減らし(青信号を待つイライラを減らす)赤信号になった時の残留歩行者を減らす(赤信号になるまでの時間を表示することで渡りきるめやすを与える)効果がある(125~126ページ)が、外国では残り時間を数字で示す方式もあり著者の経験では残り時間の数字の減少に目を奪われて左右から来るかも知れない車への注意がおろそかになった気がするという指摘(126ページ)は、なるほどと思えました。横断歩道上の歩行者の存在を感知して青信号の時間を延長する信号も出てきた(156~157ページ)というのは、歩行者目線ではありがたいことです。車の運転者からはけしからんことかも知れませんが。
連載を単行本化したことからか、様々な点から紹介があり有益な情報がある一方で、有機的体系的に論じていく展開になっていないように感じられました。
松浦常夫 東京大学出版会 2020年7月31日発行
「交通安全教育」連載