
ドキュメンタリータッチかなあと思えばそうでもなく、しかし舞台がほとんど体育館の遺体安置所でのエピソードなので、それぞれ彼らが生きた人生が浮かび上がってくる構成となっており、まさに映画劇であります。
この題名の「遺体」という名前にこの映画のすべてが表れている。安置所に運ばれる遺体をぞんざいに扱う人たちに「遺体であり死体ではない、彼らを生きているように扱ってください。」と優しく諭す民生委員の西田敏行 。彼はボランティアで遺体を扱う仕事を自ら申し出る。
遺体も人生を生きていて、死んだからって終わるわけじゃない。すべて家族(遺族)が彼らの人生を自分の人生として引き継ぎ生きてゆく。けれど遺体を前にして遺族の葛藤が始まるのである。
2時間、泣きっぱなしの映画である。何故かしら泣くのである。泣けるのである。泣きたくないのに涙が出て来るのである。出演している俳優、彼ら全員、自ら出願したような雰囲気を感じる。それほど全員が透き通った演技で素晴らしい。これぞ渾身の演技と言えるだろう。
2年を経て風化し始めた3・11。僕たちは決して忘れてはいけない。まず日本人たるわれわれがこの現実を知ろうではないか。目をそむけてはいけないのだ。それがこの映画の意義でもあるのだ。
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