NHK『透明なゆりかご』で少女時代の大竹しのぶを凌駕する演技を見せつけた注目の女優の映画初主演作だ。映画はドラマ的にもそれほど深刻ではなく、思春期の絶え間ない揺らぎを底に据え、素直で薄青色のまぶしい青春を描いている。
テーマとしては家族の営みと淡い恋愛なのだが、そこらを連ねるのは敢えてどこにでもいる婆にしてしまった桃井かおりの捨て身の演技だろう。さりげない演技を身上とする彼女にしては、今回は随分とそこらにいる市井の老女に身をやつし、その分演技に立ち向かっているように思える。考えたら主演は久しぶりかもしれません。
最後の道端でのふとしたダンスにしても元クラシックバレーを目指していた片鱗が十分見えるほど優雅だ。渾身の役でした。
清原はNHK演技とは違い、難役ではなかったのか、随分自然と余裕のあるいい演技を見せてくれた。初スタートしては穏便か。
とはいえ、全体的には作品的に甘酸っぱい青春があふれ、画面全体に散らばっている。まだこのような、どちらかというと気恥ずかしい映画を見られるという吾輩も、まだまだ映画青年していることであることよ、と自負してしまう。恥ずかしや!
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