
気になっていた濱口の長編もの(317分)を見る。映画館では3部作に分かれており、しかし映画自体がとても面白く、全然苦痛ではなかった。
30代後半4人の仲良し女性たちの生き方を掘り下げた作品です。冒頭はどこにでもいるような女性4人組の談笑から始まっている。ところが一人一人彼女たちの人生が掘り下げられてゆくその行き先は、、。
一言で言えば女性の社会的及び精神的自立をテーマとしている。それに影響される男たちの悲喜劇。女に対して男は昔から変わらない、としている。男の女に対する無理解。そういう意味では女性映画なんだろうと思う。
たっぷりそれぞれの人生を描いているので、いつもの2時間映画では味わえない充実感を覚える。そしてどこまでが脚本の領域か分からない演出方法なので、そのドキュメンタリー実験風の展開が強く観客においかぶさる。
この作品は濱口の原点がかなり網羅され広がりを見せている作品だと思う。先に見た「偶然と想像」はこの作品の一部焼き直しであるともいえるだろうか。両作とも、文学叙述部分が秀逸である。
4人の切り取られた時間はすなわち僕の人生の時間でもある。あとでこの作品に出演した俳優たちはほぼ素人だったと知り、驚く。キャスティング、最高でした。
映画館での映画愛を感じるオマージュともいえる時間の流れ。シネヌーヴォでの6時間を共有した観客たち、、。忘れられない一日となった。
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