珍しい、沖縄戦争終結後の民衆の生活を描いた作品です。終戦前の7月までに住民の1/3が犠牲になった沖縄戦。その数は兵士より多いというから本当に特殊な戦争だったと言えます。映画はこの戦争後の住民たちの生活を描いていきます。
たまたま知り合った少年二人、そして父母を亡くした女の子との哀しいしかし貪欲な生活です。あまりにむごい生活の連続なので映画は少々虚構に向かいつつ、しかし辛酸舐めた彼らの人生を執拗に追い続けます。
僕はこの映画であれっと思うシーンを観ます。
①北部で逃亡しているとき、沖縄人が内地から来た日本兵に殺されたと言ってること。
②少ししか出てこないが、沖縄に多数の朝鮮人が連れられていて、女性は内地でのパンパンのような仕事をさせられていたこと。
③この映画では8/15の日本終戦の日が全く触れられず、むしろ朝鮮戦争勃発の日の方が大きく取り上げられていること。
このように、行間の隙間にこの映画の本音が出現していることが印象的です。反戦映画というより、むしろ反内地映画と言えるでしょう。
ラストはアメリカに渡る少年と親の家業を継ぐ決心をする少年、そして新たな将来を夢見る少女の描写で終わりますが、これは映画として成り立つための最低条件と言えるでしょう。
今でも沖縄問題は終わっていないと思わざるを得ない映画です。そんなことをじっくりと考えさせられる作品でした。
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