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Dr.パルナサスの鏡 (2009/英=カナダ)(テリー・ギリアム) 75点

2010-01-28 14:59:09 | 映画遍歴
何か見かけはフェリーニ的な要素がたっぷりなんだけれど、全然違いますね。僕は『未来世紀ブラジル』の不思議な世界を高く評価しているいわゆるギリアムファンですが、この映画は奥が深いのかどうか、ちょっと分からん映画でしたね。

フェリーニと比較しても仕方がありませんが、ギリアムってひょっとしてまともな人なのかもしれないなあと思い始めました。映像とストーリーは相変わらず跳ねていましたが、テーマはギリアムの81/2ですね。見世物小屋はギリアムの脳裏です。欲望、善悪、そして作品を創造するということと闘っている。でも、フェリーニと違い女性などの扱いが肉欲的じゃないのですね。観念的なのです。

悪魔に身を売る、要するに悪魔と取引をする話は西洋ではゴマンとあります。ロンドンの見世物小屋で、鏡の中に入ったその時から人間は自分の欲望通りのシチュエーションにため息をつくわけですが、結構大人には退屈です。ギリアムって、童心性を必要とする作家だったかな。最後のラストでのハッピーエンドもディズニー的で少々気恥ずかしい。毒が少ないというのかな、ちょっと驚きました。

でもやはり気になる【ヒース・レジャー】部分の処理。まあ、うまく考えたけれど、やはり混乱しているなあ。言っても仕方ないけれど 【ヒース・レジャー】1本でいってたら全然違いものになっていたと思う。また、怒られるかもしれないけれど、3人使わないで【ジョニー・デップ】一人であったら、イメージが拡散しなかったかもしれません。

【ヴァーン・トローヤー】の異分子イメージ、そして悪魔役の【トム・ウェイツ】はもうけ役。かっこよく、そして異彩を放つ。【ヒース・レジャー】は遺作という思いで観客は彼を見つめているので何とも言えないが、存在感はある。そして清廉な【リリー・コール】といい見応えはある。

映画的には相変わらず人を寄せつけない部分が多い作家ですが、そういう堅物さは彼の長所だ。でも何か、見るごとに『未来世紀ブラジル』から離れていく【ギリアム】を感じます。そういうように彼を見ている僕がだめなのかな?

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