前作があったなんてことも知らないで見たが、この手の邦画ではなかなかの出来。あれだけの前作ストーリーからよくここまで展開させたなあと、この脚本には拍手を送りたいほどだ。
なんと言っても俳優陣の演技がみんな半端じゃなかったね。4人組+安藤のGONIN組はみんな最高の演技をする。
4人組、主役の東出は意外と見せ場がなく地味な役どころで少々気の毒。到底、主役とは思えない。これは演技というより脚本の作りだろう。桐谷は元組長の息子にして今や現組長の小姓的存在で、複雑な役柄で演技的にはおいしい設定である。実質、主役風。
柄本の演技達者なのは周知のところであるが、今回はなんと死んだ後でも生きているかのような迫真の演技をする。彼は内面の演技が相変わらず達者ですね。
4人組の最後。紅一点の土屋アンナが不思議とスクリーンでは花を咲かせる。個人的にはあまり好きくない女優さんだが、この人は女優バカですなあ。ぐいぐいと観客を引き込んでしまう。スクリーンでは映える人だ。
そして強いのか弱いのかはっきりしない現組長の安藤政信。これがいいんだ。ほとんど内面的演技を要求されていたが、見事それに応えている。最近見ていなかっただけに余計魅力的であった。
そして今回はそれほど臭くなかった竹中の、そしてただものではない福島リラの怪演ぶり。見どころは多い。けれどなんといっても、元刑事役の根津甚八の、妖気さえ漂う、役者の全霊を見せる渾身の演技はすごい(植物人間の役でセリフはない)。インパクトがあり過ぎる。
ラストの殺戮アクションは、通常一回ぐらいで終わるもんだが、この映画はこれでもかという執拗さでなんと3回ほどクライマックスがある。これは観客へのサービスか、それとも石井のこの作品にかける意気込みの凄さが表出したのか、この作品のボリューム感を出してくれた。
満足感は十分あります。映画料金、高くないです。
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