「気まぐれな唇」からずっとサンスを見続けているが、今回も洒落た作品だ。上映時間も70分ぐらいでうんと短い。映画は90分とよく言われるが、さらに短くして十分長編足り得るその力量にはうーんと唸らせる。
見始めて1分でもう観客はそののほほんフランス的会話の妙にサンスの世界に入ってしまう。常連たるムン・ソリもそこは手慣れたもので(最近ふっくらしてきたが)相変わらず演技をしていないような演技をする。(あの同衾前の加瀬亮とのいやにしつこいキッスは演出なのかどうか疑問ではあるが、、)
ある女を探してソウルに来て日本に帰るまでの単調な日常空間を、時間軸をばらしてこれだけの作品に仕上げるその巧みさ。実にうまいね。憎いぐらいだ。
でもこの作品の題名、これはずるいよ。東京世田谷でのロケだと普通の日本人は思っちゃうよね。カフェ店の店名だとわかったときはお腹の中で大笑いした。お茶目十分なホン・サンスでもある。
いつも言っているけど彼の映画はポエムである。韓国ではこんな作風の作家は全くいません。早や次の作品が待ち遠しくなるほどだ。
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