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オデッセイ (2015/米)(リドリー・スコット) 90点

2016-02-07 21:36:46 | 映画遍歴

このマット・デイモンのポスター。何か不安げに永遠を見るようなまなざしが気になる。秀逸なショットである。即映画館入り。

2時間半の長尺だけど、困難な時でもそれに立ち向かう勇気と知恵を淡々と映像は説いてくれる。もはや、映画にする題材はそろそろ枯渇し始めているのではと思い始めている吾輩であるが、こういう宇宙物はさすがアメリカ映画にしか出来えない範疇であり、期待に沿った出来栄えである。

この映画で好きなところ。

1・どんな困難な状況に陥っても人間はそれに立ち向かい切り開く能力と勇気を持っているのだということ。

2・クルーという仲間愛が全編満ち溢れていること。(一人欠けても完全なクルーではなくなる。)宇宙空間の時間と距離が離れていても、彼らには家族同様の思い入れが存在していること。

3・クルーの仲間たちが人種が多様で、しかも女性が隊長であることから分かるように完全に何か(規律)から解放された存在の組織であるということ。

4・いつもは中国なんて利己心のみの国としてしか描かれないことが多いのに、科学技術の提供を前提にアメリカに協力するという(ユートピアとはいえ)感動的な展開を用意したということ。道路に溢れ、空を見つめる中国人の目もみんなきれいだった。

5・隊長の冒頭の置き去りの悔恨から、あの無謀なデイモンのキャッチャーは、隊長が女性であることを忘れるぐらい力強く、そして仲間愛も同等に強靭なものであったことを思わせてくれるということ。

6・でもやはり一番感動したのは仲間たちクルーがデイモンを見殺しにせず、逡巡することなく、彼を助けに宇宙空間に颯爽と出発するシーンです。

7・デイモンは嫌っていた隊長が残した音楽群。僕はどれも気に入りました。ゴキゲンでした。僕らのようなおじさんにも乗れるリズムでしたね。特にラストに流れる曲がいい、、。

ということで、この映画で嫌いな部分はアメリカ映画にしては珍しくありません。ポスターのデイモンのあの微妙な表情も最後には明るいアメリカ人の表情に戻っています。こういうハリウッド的ラストもたまにはいいではないか。


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