N2『居坐りのひ』（作・演出 杉本奈月）（於・ウイングフィールド） 80点

観念的、難解な詩劇であります。女と二人の男。75分の間、彼らはそれぞれ言葉をつぶやく。それは途切れることはない。無尽蔵な言葉の洪水。観客は連想詩のような3人による言葉の攻撃を受け続ける。

舞台には何やら書きなぶったペーパーが散乱している。それを拾い、つぶやく女と男たち。詩である。でも何となくポエムといった感じはしない。むしろはるかかなた、万葉調で詠われる言葉を詩情を通して彼ら3人の語り部として表したもののようにも思える。

結局は始まりと終わりもあれど、舞台は何も変わらずただつくねんと終わる。詩情って光のように、風のように、目に見えないものとして観客に捉われる。

これは何を語ったものなのだろう。僕は創作の生みの苦しみ、喜び、それを伝える苦悩等々、演劇的なものを感じ取ったが、何か扱っているものが大きすぎて、1億5000年をかけて伝わる光のなせる技のような気もして、ただため息だけが残るばかり、、。

恐らく演じている3人の役者たちも本当の意図は分かっていないのではあるまいか。そんな気もするのですよ、、。