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ワン・デイ 23年のラブストーリー (2011/米)(ロネ・シェルフィグ) 75点

2012-07-20 13:23:13 | 映画遍歴

卒業式で盛り上がったのにベッドインできずじまいの、二人の長ーい歳月の話です。女はその気満々だったのに、男は酒を飲み過ぎてこんな時にしなくてももっといい時に、とパスしてしまったのが運のつきの二人。

それからの20数年を映像は執拗に追い続けます。

この映画の面白いところは7月15日だけを描写し続けるということより、セックスレスだからこそ続く二人の長ーい恋愛人生をつくねんと追い続けていることです。そうなんだよね、あの時にしておけば何と言うことのない別々の二人の人生があったはず。この視点がまず面白いと僕は思いました。

結局ふたりのベッドインの成就は、何と男が女性遍歴のあとやっと結婚し、そして妻に浮気されて離婚した直後に落ち込んだ時に女と結ばれたのでした。女は男を慰めるためにセックスをしたと言います。それが重要なシーンであるにもかかわらずただ話で語られることに僕ははっとします。(無理に7月15日シーンを作ることは可能だったはずです)

女は男に女児がおり、月一で逢瀬しているのを見るにつけて、自分も愛する人の子供を持ちたいと思うようになります。しかし、もう女は子供を生むには少々難しくなってくる年齢になっていました。

でも、神は女に子供を授けるどころか、死を賜ってしまいます。そしてこの23年間の長い歳月の物語は終わりを告げることになるのです。

僕のような一応長い人生を過ごしてきた人間から言わせれば、この映画で人生の一番輝いているときは冒頭の卒業式のときだと思います。映像でも実にふたりは麗しくきれいです。ほとばしる若さがあります。

歳月を重ねるにつけ、男はだんだん容貌も衰えて来、女は仕事と自信を蓄え美しくなる。でも、それは見た目の印象だけで、実は女も男と同様に年を重ねるにつけ老い始めているのだ。

男と女は45歳ぐらいでこのラブストーリーを終えますが、それは正しいと思います。これ以降は人生のつらさや哀しみが追い打ちをかけることになります。それは男の父親・母親のパートで残酷に描写されています。

何気なく描写された23年間の男と女のラブストーリーに見えますが、この映画はさりげない人生の真の姿を言ってのけています。この23年間のエピソードのどのシーンをカットしても、自分に返って来ない人はいないのではないでしょうか。甘い話に見えて結構ビターな映画だと思います。

残る映画になりそうです。


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