
前半はカットが長く映像的にも野心的だ。スノッブのごった煮といった感が全体に強く、決して芸術映画を標榜するものではない。ゲルマンもそこのところを徹底的に排除している。人間の歴史も文明をある程度排し、戦国時代の混乱期では案外こんなものではないかいと思えそうなそのリアルさ。頼もしく猥雑ですこぶるグロい。
後半はカットが適度に短くなり映像的には見やすくなるも、トーンダウンする。その分多少ストーリーも垣間見えて来るが、思ったほどたいしたことはない。結局3時間、ストーリーを気にせず見られた混沌絵巻である。
俳優が時にカメラ目線を送るそのカットはしつこく、だんだん興ざめする。それほど面白いものでもないのにゲルマンは頻繁に映像化する。映画ファンへの挑戦でもあるのか、とも思う。
全体に悪くはないが、配役に若き女性が少なすぎる。色がなさすぎる。何と無体な歴史絵巻か。
色彩はモノクロにしては題材のせいか美しく感じられない。それは仕方のないことなのだが、やはり前半と後半の相違がありすぎ、編集の作業状況が後々気になった。
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