昔の名作を京都文化博物館で鑑賞。その日暮らしの市井の生活を描いたものだが、この主人公の貧乏ぶりはなぜか現代に通じるものがある。現代に生きている我々もいつ65年前に戻るかもしれない、そんな不安感をも湧き起こさせる名作であります。
生きていこうにも家を失い、職もなく、家族4人が路頭に迷う。現代なら即生活保護を受けるんだろうけれど、戦後間もない庶民は何とかどっこい頑張って生きていこうとする。それでも善意で借りた持ち金を盗まれ、いよいよ一家心中しようとするその悲壮感はいたたまれない。
当時の生活描写はイタリアのデシーカ監督の作品群に酷似している。ちょっとアカっぽいところは今井正だからなんだろうが、一方当時の市井の庶民の生きざまをまざまざ見せてくれている。
それでも町を着飾って歩く金持ち風情の人たちもしっかりと描き、現代の日本の二極分解の下底層の人たちにつながるものを感じる。65年たっても日本は基本的構造はさして変わっていないのかもしれない、、。
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