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やじきた道中 てれすこ (2007/日)(平山秀幸) 80点

2007-12-11 21:30:36 | 映画遍歴
出だしは溝口の「近松物語」を思わせる夜の水面の逃避行。ところが急にてれすこの出現でどたばたの幕引き。実にうまい。俄然いいぞ。
何場面あっただろうか、場面ごとに名優が出演し短い時間なんだが、緊密で昇華した映像がしつらえてある。久々の波野久里子。さすがの妖艶でどすの利いた演技。勘三郎の実姉なんだよね。うーん、観客を乗せるね。
僕は落語が分からないんだけど、ネタはそこからなんだろうな。
吉川晃司のりりしさが異彩を放つ。チョイ演技なんだがいいね。國村隼、笹野高史もいいけれど、やはり藤山直美はすごい。彼女の芸の粋が見える。
最後はまた溝口の「雨月物語」で涙を誘う。映画ファンにはたまらない。
中村勘三郎、柄本明はがっぷり四つ。それほど軽そうに見える演技でも鬼気が漂う。その点やはり小泉今日子は演技的に二人と対等にできるすべもないが、色香は枯れて来てはいてもまだまだ十分粋だ。
日本映画の時代劇を超える新しい何かを感じさせる映画だ。本物の俳優陣の総出演、瞬発的な演技の競演、ストーリー内容は軽そうだが、現代人への警鐘も感じさせるエピソードの連続。何より平山秀幸の持てる力を100%出し得た演出力。最近の映画でこれほど贅沢な映画があっただろうか。拾い物の力作。
題名がある意味この映画の観客動員力の足を引っ張てるね。いい映画はみんな見ようぜ。

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