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いつか眠りにつく前に (2007/米=独)(ラヨシュ・コルタイ) 70点

2008-03-05 12:48:03 | 映画遍歴
何か不思議な映画である。死期を自覚した女に去来する思いとは何かというテーマに明日への生きる糧がサブとなっている。

で、死ぬ前の女に一日だけの恋が忘れられず彼女を悩ませる。でも、こんな、劇的ではあるが、一瞬の恋を、女は一生思っているものなのだろうか。よく、男は女を忘れもせず永遠に思い続けるのだ、ということは聞くが、女って実生活で、そんなもの、どんどん忘れ去っていくものではなかったのか、と思っていた。

そういう人もいるのだろうが、現代ではもう皆無になっていると思っていた。ましてや、アメリカでの話である。素敵な話だが、小説的でもある。男の僕には少々嘘っぽく感じてしまう。

4年間も好きな女のどうでもいいようなメモをずっと大切に持っていた男。そして初めて告白する女に拒絶する女。友人としても全くの愛も感じられない冷たさだ。それからの悲劇は全く男の独断であるにせよ、女はあまりに冷ややかだ。だからこそ、云十年たってそのときのことが甦って来るのかもしれないが、、。

僕には女の過去の追憶より娘の精神的な羽ばたきのほうがこの映画のスケールを大きくしていると思う。娘も後ろばっかり見続けて生きてきたのだろう。自信がない。子供を授かっても、将来に不安を抱き、躊躇している。同棲相手に妊娠を告白するシーンは感動的だ。やはり、過去より未来のほうが映画的にも観客に感動を与える。

生きていく上で、失敗・後悔は当たり前のこと。失恋、好きな相手と結ばれないなんていうことはそれこそ自然の成り行きだろう。女の脳裏に浮かぶ走馬灯はある意味、当時の後悔の念で生まれたものでなく、死ぬ寸前で、何か美しいものを追うというか、余韻に浸ろうとして出現したものではないのか。そう、これこそ夢を見ているんです。

まあ、僕は男だから、的を得ていないのかもしれませんが、男には少々生ぬるい映画に受け取りました。比較される「めぐりあう時間たち」とは作品的にかなりの差があると思いました。




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