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真幸くあらば (2009/日)(御徒町凧) 70点

2010-01-14 13:05:55 | 映画遍歴
死刑囚と彼を支援する女性との愛の映画。こういう書き方だととても月並みな表現で、他にも色々同種の映画はあったと思う。しかしこの映画はちょっと違います。何か変な映画なんです、、。

何が変って、うーん、女は死刑が決定したその時から男を愛しだす。夫もいる身だったけれど、本格的に男を愛しはじめる。この瞬間がちょっと異常。違和感もずっと付きまとう。

男もだんだん女の存在に気づきはじめ、当然のことながら女を愛しだす。男は女性との経験もなく、そういう意味ではうぶな男でさえある。死ぬことの意味と、引き換えに女を愛し出す苦悩をまで引きずってしまう。けれど、短いけれど一つの人生を全うする。

極端に変なのは、二人の空間を離れての、初夜のシーンであろう。
女の部屋と死刑囚の独房とで二人は脳内でのセックスをする。でもこれが変なんだ。それぞれ脳内でエクスタシーに達するのではなく、同時にイクが、それぞれの指を使ってのものなのだ。僕は厳粛なシーンなのに、どうしても「変だ」という感覚がもぞもぞして、少々ずっこけました。

10年ほど前『ベント/堕ちた饗宴』という映画を見ました。ナチスのとらわれたゲイの二人だったが、お互いを思う気持ちが強まり、フェンス越しに肉体的接触がないまま、精神的エクスタシーに達し射精するシーンがあった。

どうせならこの映画もそこまでいってほしかったなあというのがまず感想。あの二人の初夜は変です。笑っちゃいます。今までの二人の純粋な、愛のハナシがずっこけます。

男は当然、次の日の朝、人生に満足し、刑場に消えていきます。でも、そのあと、観客はひとり、この映画からふいにぶっ放された気がしてしまいます。映画はそのままエンドクレジット。うーん、前半はいい感じだったんだけれどなあ、、。

不思議な感覚の映画です。

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