韓国で評判の質の高い映画だ。映像がモノクロなので、映像美が十分楽しめる。特に冒頭の海上からの俯瞰撮影は息をのむほど美しい。
で、その後、異教を取り締まることによる流刑となる上級官吏の3兄弟。映画はその一人の物語である。
ソル・ギョングが残りの生きる人生を学問への究明から実務上の魚辞書作成に転向し、一方漁夫のピョン・ヨハン(好演)は学問を目指すことで人間への究明を図ろうと思う。この二人の立ち位置がまず良し。
そして、いつの世でもそうだが、腐敗した現実を知ることにより、漁夫は幻影を捨て、生まれ育った郷里へと帰る。この帰結は少々甘く、この作品をファンタジー化している。人生への思いに対する切実さ、真剣さが薄くなる。もっと世の中への切込みがあってもよかったのではなかったか、と思うのである。
けれどこの作品を一種の寓話にするのであればこの帰結でも構わない、と思う自分もどこかにいる。この題材を捉えた韓国映画を褒めたい気もするからだ。
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