中学生の長ーい日常。新一年生。クラブ勧誘。不安とときめき。そういう時代だったかなあ、もう50年ほど前のことだからだから感覚さえつかめない俺。けれどこの映画はまさしく少年少女の生きる息吹が、その確かな息遣いが静かにこちらに伝わってくる、、。
たいして事件が起こるわけではない。イジメもそれほど深刻なことはない。誰かとラブラブになるわけでもない。性の興味が旺盛なはずなのにそれにも触れない。多少フルート奏者への気持ちが見えてはいるが、、。でも成就しない。(よくこういう映画では題材になりそうな)両親が不和だということもない。家が貧乏だということもない。特に落ちこぼれということでもない。
そう、そこらどこにでもいるフツーの中学生の眼から見えた光景がそこにあるだけの映画なんだ。そこにあるのは主に吹奏楽団の日常だが、かといって特に感動的なことがあるわけでもない。過ぎゆく中学生の2年間の、誰もが持っている日常。ただそれだけ。
でもそれが大したことなんだ。フツーの日常をただ見せてるだけなんだけど、それが見事少年少女の人生になっている。そして2年間ではあるが、小さな移り行く歳月をリアルに映し出している。
時々出てくるウサギの意味は僕にはわからないけれど、その単調なテンポに躍動感を与えているのは確かだ。単なる思春期の成長物語ではないと思う。その時の空気をまっすぐに見据えた骨っぽい映画だと思う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます