セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 93本、 演劇 71本

書道ガールズ!! わたしたちの甲子園 (2010/日)(猪股隆一) 80点

2010-05-19 10:15:07 | 映画遍歴
最近良くテレビ等で書道の文字を見て、その従来からの違いには目を見張っていました。半紙で書く書道が従来のいわゆるオーソドックススタイルならば、この映画の(ひょっとしてまたは現代の)書道は書道として表現するまでの過程をじっくり見させ、そして書く喜びなどを表現する。いわゆるパフォーマンスそのものとも言えそうです。

ラスト近くの、だからわたしたちの甲子園の4校のパフォーマンスぶりに僕たちフツーの観客は驚き、そして妙に楽しんでいる自分を発見するのだ。その表現はダンスは入るは色も黒一色ではなく、青、ピンクさまざまな色彩を白地に描き込む。その躍動力そしてその素晴らしさ。

映画はその祭典に到るまでのある文化系クラブの日常を描いている。高校生時代というものは受験、恋愛の悩みがなければ、当然関心は生活時間を占有するクラブ活動に向けられる。映画では書道部というかなり地味目ではあるが、何か薄暗さを感じさせるクラブに舞台を設定する。でもそこにも高校生独特の悩み、生活が存在する。

四国中央市は紙の町で有名らしいのだが、僕にはそういうことは分らない。今や日本のどこにでも生じている商店街の空洞化風景、忍び込む日本経済の崩壊等が描写される。

でも映画が描きたいのはひび割れようとする一地方都市ではなく、青春のひとこまなのである。どういう時代であれ、どんな経済情勢であれ、そこに人生への悩み、喜びがあれば青春が存在する。そしてその青春はこれから生きていく若者に何倍にもばねとなって彼らを新しい未来の人生へと誘ってくれる。

映画としては、多少たどたどしい展開も見受けられるが、そんな小さなことが気にならなくなるぐらい素晴らしい青春映画を見たように思える。後半は彼らの純粋さにストレートに感動した。

それにしても(小さいことは言わないとは言いましたが)あの男の子たちはもっと自己表現できないものなのでしょうか?病院の中庭で描いた彼らの書いた名前は想像していたより立派でした。中心となる女子高生だけでなく、7人全員で書をしたためて欲しかったと思いました。

でもこの映画から僕は元気をかなりもらっちゃいました。好きだなあ、この映画。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« リバース(北國浩二著 原書房... | トップ | 悪い芝居vol.10『らぶドロッ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画遍歴」カテゴリの最新記事