相変わらず独立独歩のホン・サンスの新作。彼の映画は何ていうか文学に私小説というジャンルがあるが、それと良く似ており、私映画とでもいうべき代物ではないか、と思う。
独特の文体なのである。まさに古き良きゴダールがいた時代のヨーロッパ映画の香りを持つ愛すべき作品群である。
二人の男がマッコリを飲みながらいわば女の品定めをしている。まさに男視線の映画である。男から眺めた女の映画である。いつものパターンなのであるが、今回はこの二人は気づかないが、それぞれが話す登場人物に重複があるということだ。
それを知っているのが観客とその問題人物である女性だけだということになる。その人物にかの演技派ムン・ソリが演じる。彼女が出演するので美貌ではなく脚に惹かれたということになっている。(これはムン・ソリにはかなり失礼な脚本だが)
まあ筋なんかあってないようで、映画的高揚ドラマはほとんど期待できないが、サンスの面白いところは、普通の男性の脳裏にあるものをほとんどそのまま、行動に、言葉に移しているというところにある。男性はそのストレートさについついニヤついてしまう。そして俄然面白くなるのだ。
でも女性からこの映画を観たらどうなんだろうなあ。面白いんだろうか、、。それは女性ホンスファンに訊いてみたいところではある。
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