ゴールデンスランバー(2007 新潮社）（伊坂幸太郎／著 ） 85点

伊坂の作品をずっと読んでいるが、この作品は構成自体がすごい。まず、冒頭で全体のハナシをダイジェストしているのだ。それから徐々に細部に入る、という下手するととんでもない小説なのだが、ダイジェストで大まかにストーリーを読者に提示していても全く魅力がなくなることがないぐらいうまい。凄い。驚く。

一人の普通の人間がある組織から標的にされ国家からも逃げ惑うことになる。さて、この青年はどうして逃げ延び更にどう生きていけばいいのだろう、、。

うーん、このラストはうまいが、いかにも、でも、哀しいかな。ケネディ事件をベースにしているので親近感があり、現実的だ。恐ろしくもあり、それでも人間は生きていかねばならない。

一つ一つの伏線が利いている。相変わらず文章も楽しいし、いいセンスだ。また早く次の小説を読みたくなった。