シンプルな話なんだよね。だけど誰にもありうる話だけに考えさせられるし面白い。たったこれだけのことから、延々とこの家族は地獄に落ち込んでゆく。
男と女との違いをたった一瞬で描き切り秀逸だ。この映画は動物学的にもなかなか意味深い。そもそもオスはメスの関係は「花と蝶」であり、オスはメスを求めて花から花へと飛んでゆく存在である。
一方、メスは子供を産むがゆえに子の存在は自分の体の分身のようでもある。だからこの映画のように、男は一瞬に自分の身の危険を感じ逃げ去る奴もいるだろうが、女は絶対それをしないと思う。それは動物学的にも明らかであろう。
原題名のようにそれは一瞬の出来事であり、不可抗力なのだ。それは妻も子供たちも分ってはいるものの、でもやはり本質的な問題としてそんなことをしでかしたパパを許せないのだ。
男は最初、否認をしていたものの、事実はそうでないことは明らかで、そのうちまるで子供のように号泣してしまう。人間も動物なんだなあと思わせる秀逸なシーンである。カッコをつけていた夫が融解する。妻は嘆くというより、やっと心をそのまま開けている夫を認める。
この思いがけない夫の行動を見て、妻はどうしようもないことなんだと赦しの境地に立つ。そしてまたこの家族は強くなって元に戻るのだ。
もし俺だったらどうだろうとかやはり考えちゃう。恐らく子供がいるのに逃げちゃうことはしないだろうけど、妻だけだったらどういう行動をとるか、、。
面白い視点に立ったこわーい映画であります。スウェーデン映画なので人間を見る目が覚めていて冷酷だ。秀作です。
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