いつものごとく内容も確かめないで見てみたら、なんとこれは劇映画ではあるが、政治的欺瞞を強く非難した、見ているだけでつらく体のすべてが怒りで震えるような体制告発映画であった。
聴覚障害者学校で実際起こったというむごたらしい性的虐待事件はもとより、僕がこの映画で一番憤りを感じたのが、ご祝儀判決をいただく初弁護士だの、ラスト近くまで真剣に加害者を問い詰めていた検事、そして司法の裁判官までが、カネ等でヒトを売ることに全く躊躇しない現実に唖然としたことだ。
特に検事が最後にうっちゃりをかまし絶対証拠品であるビデオカメラを闇に葬る行為がものすごく印象に残った。韓国は『殺人の追憶』でも警察のいい加減さにある意味驚いたことがあるが、この映画での3者すくみ、いわゆるトガニは開いた口がふさがらないほど強烈だ。
映画化によって裁判がやり直されたらしいが、全くもって映画は個人の犯罪というより韓国が国家的にまだまだ成熟していないことを暗示しているように思える。
ただ映画的には既成事実を述べることに重みがあり過ぎたのか、犯罪者側の黒い闇までは写していないように思えた。でも十分それを超える描写の前に観客はただただひれ伏すのみだ。
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