甘い、甘~い映画だけれど、人生の最後を自分で決め、緩い走馬灯の8日間で自分の歳月を思い出していくといった切ない芸術映画風の凝った映画です。全編その甘酸っぱさが漂い、いかにも青春のもろさを感じ取れる作品となっている。
男と女。添え遂げられずにそれぞれの道を二人は歩む。けれどその思いは歳月を過ぎても弱まることをしない。むしろ幻想を追っているから強くなってくる。一応それぞれ子供を成し生活は保っているが、心の空白は埋めることは出来ない。
何か昔よく読んだような青春小説風である。でも舞台がイランで昔の設定だからそれなりに訴えて来るものがある。これが現代だったらこうはいかないだろう。
味付けを少々変えたのが、妻の存在であろう。妻は夫をものすごく愛しているのに言葉と行動はその逆を行く。不幸な女性である。こういうのは男に多いタイプだが女だからよけいどうしようもなくなる。
そんなシンプルな愛をバイオリンに掛けて描いている。夫がバイオリンの音色を追っているのがまだ見ぬ女性のせいであることを妻は知っている。
でもねえ、男が一生そういう思いを持ち続けると言ったことは良く聞くけれど、現代女性はもう今や皆無、絶滅しているのではないでしょうか。
それにしてもチャーミングな映画で純度の高い映画を見させていただきました。胸きゅんになっちゃうよね。
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