北極に近い極寒の孤島に少年院がある。そこは隔絶された世界であり密室である。そこでは教育という名前のもと、想像を絶する日常が繰り返される、、。
映像は緻密で、吐く息は白い。そこで暮らす少年たちの極限の意識が張りつめている。ちょっと反抗でもすれば過酷な労役が待っている。そしてやっと卒園するときに引き過ぎた弓が音を立てて壊れてしまう。
そこには自由という希望などはない。ほころびから来る抵抗。そして静かな爆発。ある意味、それは革命でもある。しかし一瞬にして権力の前にはそれらは無力でもあった。2時間強、映像は静かに緊張感を持って流れる。固唾を飲んで観客は画面に食い入る。犯罪を犯した少年たちとはいえ、強制を強いられる存在とはいえ、彼らは生身の人間である。孤島であることをバックに、強者から弱者への黒い権力志向が露骨となる。
ラスト、彼らが一瞬でも自由を得たことはすなわちそれは革命でもあった。自由を得るためには人間は何かを失う。しかし哀しいかな、権力者と虐げられる者たちとの構図は如何せん現代においても変わりはしない。
この物語は自由を得るために闘った若者たちの話である。100年近く前のノルウェーでの出来事ではあるが、今現代我々の前に起こっている日常茶飯事のできごとでもある。それは会社や学校でのできごとかもしれないし、家庭の中のできごとかもしれない。
人間の光と闇を照らし、自由とは何かまで考えさせる秀作であった。
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