浪花グランドロマン「舞う、舞え、王妃」（作・演出 浦部喜行）(於・座九条） 75点

いわゆる演劇に内幕もの、で僕たち観客にとってとても気になるし、面白いものである。そして今回は差し入れをするファンまで登場し、何と僕も時々やっているので、ああいうものが劇団からどう捉えられているのかもというのも分かり、なかなか興味深かった。

でも、あの秀逸な劇をいつも見せてくれているこの劇団にしては、何か少々硬いし、どちらかというとこの内容は広がりがない。内幕ものだから仕方がないとは言うものの、それが彼らだけのものになっていて、劇そのもの、すなわち創作という観点からの広がりがあまり見えないのである。

一人の役者が千秋楽当日にやってこない、さて彼らはどう立ち向かうか、というまさしく面白い展開なのだが、演劇そのものの本質にまで言及していないかなと思った。これは，常に野心的な試みを見せるこの劇団にとっては、怠慢に近いとまで僕は思ってしまう。

登場人物もみんな普通の人たちなんだよね。敢えてそう設定したのかもしれないが、だからか、演劇論から外れて、それほど深みは感じなかった。次作に期待しよう。