超お気に入りシリーズの3作目。この、超エリートでありながら、官僚丸出しのはみ出し警察署長竜崎は考え方に筋が通っているから、国家の危機管理者として現代の日本国家にとって今一番要望されている人物だと思われるほど魅力的だ。
とにかく警察機構を題材にしてはいながらも、話の展開がいつも面白く、ミステリーの秀作の条件である一気読みができる希有な小説でもあるのだ。
今回も期待は高く読みだしていく。ところが3作目にして今回の出し物は、な、何と恋心なのだ。竜崎が初めて経験するコイゴコロなのだ。そのため本作の全編をまどろっこしさが覆う。恋とはそういうものなのだからだ。とてつもない変身。否、アイデア。驚き。
でも、ちゃんと、最後にはミステリーとして作品をまとめている辺りは見事。読者としては堅物竜崎の人間味のたっぷり感に目を細めっぱなしであった。作者の狙いも恐らくそこにあるのだろう、読み終わった後、またまた楽しく本を置くことになる。
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