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紙屋悦子の青春 (2006/日)(黒木和雄)

2006-08-18 23:43:43 | 映画遍歴
秀作が2本続いた黒木の遺作。終戦寸前、特攻隊が飛び立っていた鹿児島でのある人たちの日常。まさに平凡な人たちであるが故に国民の一人一人が戦争をどのような気持ちで捉えていたか、毎日をどのように過ごしていたか、ごく自然に本当の日々をまさに切り取ったように描いてゆく。その演出はやはり切れている。素晴らしい。
重点を小津調のあの会話の言い回しに負っている。なかなかいい。
しかし、冒頭の老夫婦の諦観、哀しみが60年後もまだ引きずっていることの説得力がこの映画では感じられなかったし、曖昧だったと思う。
というのは原田知世が松岡俊介を愛していながら、永瀬正敏を受け入れるあたりが腑に落ちないのである。本当にそうであったのなら、見合いの話を多少は躊躇するであろうし、永瀬正敏に対して好感を持てないのが通常の心理ではないのか。
そのことが60年以上も夫婦の歳月をも今も脅かしていること自体、不思議です。
そうであったとしたら、この映画のエピソードだけで理解させるのは無理だと思います。
少々観念的過ぎるのでは、と思いました。
作品的には少々「TOMORROW」に戻った感じでしょうか、、。
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