なかなか達者な筆さばきであります。ミステリー的には殺人事件といったものは起こらないが、山岳での事故に対するアッと驚く仕掛けも用意されており、十分読むに値する秀作であります。
けれど1点だけ言いたいことがある。
少々クリスティーの著名な小説と同様の伏線だが、それを明かさず最後の方になって言及するというのはいかがなものか。やはり両事故とも有数な山岳事故であるだけに、事故の真実を追いかける専門ルポライターがそれに気付かないはずがないだろう、と思う。
まあそれを言ってしまえばミステリーとしての楽しみもなくなってしまいますけれどね。
でもラスト近くの真相は一転二転して面白い。この作品こそ山岳ミステリーの白眉ですね。
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