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死にぞこないの青 (2007/日)(安達正軌)  65点

2008-12-11 16:10:44 | 映画遍歴
乙一の映画化作品はすべて見ています。乙一の大ファンです。今回も興味津々俄然気持が高ぶっています。そして、、

何か今までとは違った乙一の世界です。まず色彩が鮮明でなく、凡庸です。色作りにはもっと凝って欲しかった。そしてハナシがいじめを題材にしたものであるからとはいえ、あまりに一本調子で(先生はそうかもしれないが、クラス全員が加害者になっている設定はちょっと訝る。完全ホラーを目指しているのならそういう手法もいいが、、。乙一の世界は本当はホラーではない。)、いじめへの洞察力が安易だ。
クラス全体のいじめが前面に押し出されるので先生の異常さが逆に息を潜めている。

どの作品もそうだが、乙一の世界の基本スタイルである切なさがこの映像からはほとんど感じられなかった。これが一番の困り者だ。いじめを受け、そしていじめにどうにか打ち勝った主人公という通常のドラマになってしまっている、と思う。

ただ、冒頭のおぼれ事故シーンと主人公をダブらせる引っ掛けは面白く印象に残った。でも、題名の「死にぞこないの青」の意味が狭囲に映像化されているので、深みがないかな、とも思った。

と、かなり失礼な批評をしてしまっているが、これは僕が熱狂的な乙一ファンであるが故、と許してもらいたい。映画として、通常のドラマとして見た場合、僕が言うほど欠点があるかどうかは分かりません。何せ乙一の作品については映画と原作の距離を微塵と認めない僕ですから、、。

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