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長い題名である。「どこよりも遠く、どこでもあった場所。あるいは、どこよりも近く、なにもない。」これがテーマである。
そして90分の劇でこのテーマが明かされる、、。それは家族である、と。
借マンションだけど、家がある。家族が集う場所。この劇は「家とは何か」と我々に問う。
現代のわれわれ、家族とは何かと時々考えることもあれど、家とは何かなんてあまり考えない。家とは戦前において、人間を束縛し、家から解放されるのにどれほどの忍耐力とエネルギーを使ったか分からないほど、ある意味呪われた存在でもあった。
家すなわち「家族とは何か」である。この劇では家と家族は同一語だ。
父親が失踪し、仕方なく大学を辞め、家族のために仕事に着いた男の物語である。男はある夢を持っていたが、風船がしぼむようにかろうじてその夢を大事に持ってはいる。しかし家の造作を変えるという母親の提案で、何か今までこらえて来た水流が急に変わったことに気づく、、。
静かな劇である。おそらく誰にでも自分と照らせ出せるテーマでもある。
挫折を知らない人はいないだろう。苦しくて、息苦しいけれど、それでもみんな歯を食いしばって生きている。そんな市井の人間の物語である。だから、意外と安易にこの劇はみんなに理解できるだろう。
登場人物みんな白髪である。これが意外とインパクトあり面白い。若い役者が多いから、年齢感が出てる。モノトーンの世界である。そう、この家族には色合いがない。何か希望をなくした人間は、色そのものも喪失してしまうのか。
母親を亡くし、家そのものもなくした男がその家に戻ってくるところでこの劇は終わる。
男は再び出発するのだろうか。そのままこの廃墟となった家にうずくまるのだろうか。男はただそこに立ち尽くしている、、。
一つの家=家族という絆をテーマにした深い劇だ。これは我々生きている人間の永遠のテーマですね。
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