相変わらず冴える色彩。全編崇高で豊饒なる泰西絵画を見ているようで、この色づくりには感心させられる。テーマも現代と40年前とは相違があるものの、前作とほぼ変わらない。とならば、
やはり小説を脚色した分、流れがまどろこしい。二人の恋愛は美しいが、別にこの作品だから際立つものでもない。今も昔もアフリカ系等に延々と続く人種差別感情に嫌悪感はあるものの、しかし諦観もあり理解しがたいものでもない。
しかし、静かに生きるために無理に罪を認め人生を過ぎようとする青年の輝きのない目を見た後、僕たちは映画館を立ち去ってゆくのである。
こう来ると、前作のパッショネートめいた高揚感は薄らいでおり、何らこれからを見据える視点も見えないままこの物語は終わってゆく。前作とは似ているようで、随分と違いを感じるところではある。そして、僕はこの諦観は許せないと思うのである。
絵はホント前作以上にうっとりしてしまうほど耽溺する。でも本当にそういう映画でいいのか、とどこか突き詰めた気持ちもあります。
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