5年というのはあったけど(ウィンターボトムの「いとしきエブリデイ」)、12年というのはすごいデス。僕たちは6歳の幼児が18歳の大人になるまでの家族の姿を3時間に見る。すなわち「時間を捉える」という作業をすることになる。
ストーリーは母親の生きざまにより変遷する家族の姿である。12年間で3人の男性を伴侶にする母親はアメリカではごくごく普通のことなのか、じっと耐えてゆく子供たちの姿は、他人事とは思えず深く考えさせられる。
でもこれが人生なんだよなあ、、。子供たちだって生きていかねばならない。母親を選べない。ましてや母親の男(父親)を選ぶことはできない。
それでも12年間、何とか人間は生活する。成長もする。生き続ける。意外とアメリカ人にしては内省的なイケメンに収まったメイスンも、芸術に生きるすべを見い出し未来に羽ばたこうとしている。
最初のガールフレンドに「もうこれからはこんな暗い話をしなくて済むわ、、」なんて言われて失恋するメイスン。ようやく自分の心を吐露できると思っていた女性だったが、人生とはむごい。
この映画は冒頭でも言ったが、話を追うのが目的ではない。12年間の歳月を同一俳優で演じさせ、まさに時を、僕たちが生きてゆくその一瞬一瞬をカメラでぐいぐい見せてゆく。それを僕たちは感覚的に瞬時に捉えてゆく。そう、この一瞬の連続が他ならぬ歳月であり、人生なんですな。
実に僕たちは3時間で人生の勉強をしたことになります。走馬灯のように、、。秀作です。
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