少々食傷気味の荻上作品、と思っていたら『マザーウォーター』と『東京オアシス』は別の監督なんだよね。それほど【小林聡美】のイメージが強かったということなのかもしれないが、今回は都会的な、ツーンとした澄ました感じがないのでとても親近感のある作品となった。
内容はマンガチックな寂しがり屋を集めた短編集だ。心の穴ぽこを埋めるのにレンタネコいかがですか~、なんていかにもアレっと思わせる突飛な着想。これひとつでこの映画を撮ろうと思ったんだよね、恐らく。
僕はだいたい猫好きでもないからこの映画に出てくる猫類には特に愛着はないのでこの映画を見に来る観客とはかなり思いが違い、マトモな感想ではないのかもしれません。(見ているだけで可愛いなんて気持ちにはならない。というか、どの場面にも猫が納まっているのである意味不気味でもあった。猫派からは全く逆の意見なんでしょうが、、。)
挿話としては第一話が一般的過ぎる。第二話がツマラナイ(【光石研】の演技が珍しくクサイ) 。そして第三話になりやっと俳優で持たせる。そして第四話はリズムが違っていて面白かった。そしてジエンドなんだ。
眠くはならないし、感動できる話でもないが、日常を混濁して生きている私にはさらりと風が吹き抜けたかのような清涼な映画であった。
そうなんだ。映画って、アクション映画で何か時間を忘れるのもいいし、心の映画で心で泣くのももちろんいい。でも、映画を見ていて何か重くもないがその時を忘れさせてくれる映画もまた実にいいのだ。
この映画はそんな、そのうち忘れてしまいそうな映画なんだろうけど、見ている間は変に心地いい(でもないか)感じがしてしまう要するにエアコンの霧ケ峰映画なのだ。
でも【荻上直子】、『かもめ食堂』で熟成してしまったかのように、後は余裕たっぷりに映画を作っていらっしゃいます。これからどこに行くのでしょうか、、。
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