いやあ、戻ってる。北野映画健在。この7,8年のへたれは何だったろうか、と思わせるほど映画の芯に重力が満ち満ちている。そうなるとこのバイオレンスは現代人の男の魂を引き連れはじきまくる、、。
それにしても北野の映画と言うだけでこれだけの俳優求心力があるんだ。本作は彼らのエネルギーが画面の端々からのたうち回る。
加瀬亮のねちねち演技とあっけない若さをさらし一体全体この俳優はどこまでやるんだ。意外とよかったのが西田敏行の直球演技。悪の臭いをぷんぷんさせる。中野英雄の真面目さ。だからこそこの映画では映える。田中哲司の不気味さ。光石研の硬軟演技。そしていざ中尾彬のこれぞ役者冥利のアウトロー演技。
新井浩文、桐谷を捨て役にする見事さ。これはあの、強烈な入れ墨と共に散華の香り。高橋克典なんてセリフなしなのに画面を締める。僕は重要な役である三浦友和とそして名高達郎が少々気に入らないが、小日向文世があのヤワコワ演技で全編疾駆したと思ったら、それを受け止めるのがこの映画の要(かなめ)ポジションたるビートたけし。その象徴たるラストシーン。
たけしは無常観まで漂わせ、この作品はある意味この世を超えた人形浄瑠璃、歌舞伎の世界でございます。北野武さま、もうあのアート映画には戻らなくていいのではないかい?
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