短編の2作、「Pの妄想」「Fの告発」と読んできて中編の「Yの誘拐」とくる。普通に読ませる手記から始まり、大山もこんな、限りなく普通の散文が書けるんだなあと感心していたら、それはある人間の手記だったことが分かり、そして、、。
とここから俄然面白くなる。普通のミステリーマニアだったら、恐らくこの時点で手記の著者である哀れな父親が真犯人だろうと、一応胸に秘めページを繰るだろう。
ところが二転三転、最後の4,5ページぐらいで真犯人が判明する。しかも関係がないと思っていた短編集にまで伏線が引かれ、殺人動機にも「おお!」と声を出す羽目に、、。
これはすごいわ。僕は大山は最近読み始めたところだが、この完成された本が実質彼の処女作と聞いてなお驚く。
彼こそ現代本格ミステリーの華々しい先導者であろう。
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