うーん、これは素晴らしい。あと3年で閉館となるデパートで従事する清掃作業者とガードマン。そこに経営者とか社員とか不思議な女性が現れてくる、、。
時代は現代、そこはパンデミック。そして東北大地震による行方不明の人たちが今でも3000人近くおり、最近はその数字は不変だという。
故郷の母親の介護等のために職を去るものたち、中には恋愛の成就にたどり着く男女もいる。人それぞれだ。
小6の息子の考えていることが分からないと嘆く母親。でもその息子はいじめに対してきちんと正しい方向に導く理想的な正義感の強い男の子だった。それでも現代の母親は、喜ぶどころか、落ち込んでいる。そこに死んだはずの母親がやってくる、、。
ガードマンと不思議な女。女は東北大地震で今でも海底を彷徨っている女性だった。ガードマンは彼女にとって、当時の生徒だ。名詞と名詞をつなぐのは助詞よと彼女は言う。それら群像劇が静かに、流れるように語られてゆく。
このデパートは日本国を暗示しているようだった。彼ら底辺で働く人々はすなわち我々の現在の姿でもある。小さな世界だけど、それでも一人一人の人々の営みは確かに静かに営まれている。
俳優陣では、唯一明るい役柄の北村守が出色の出来。彼はいろんな役柄ができる役者さんだなあ。そしてさすが石塚博章の繊細な演技も光る。いや、みんなうまい。
安心して見られる秀逸な演劇だった。
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