
素敵な題名ですね。しっとりとした予告編につられて拝見。何か、ピュアな韓国映画の原点に戻ったかのような、そう初期のホ・ジノに似た作風の映画でした。
詩人が主人公だから時たま流れる詩編も美しい。ヤン・イクチュンはいい声ですね。金も仕事も精子もない貧乏文学青年の苦悩と、そんな境遇に光をさす恋という厄介な幻想に身悶えする役です。
でも、恋といっても肉体関係が生じるわけではなく、これってホント恋なんでしょうか?まるで吾輩には昔の中学生のような恋のときめきにしか思えませんでした。それでも恋だから、奔流の葛藤が生じるんです。いや、今思い出しても苦しいだけです。
ラストはすべて吹っ切りこの恋を詩人の文学肥やしにしてしまおうと無理やり収束しようとするところで映画は終わるが、あの、後悔なのか、諦観なのか、麗しい思い出なのか、男からするりと頬を伝う涙が余韻を残す。
あまりに文学的で、この作品、韓国映画のラブストーリー系譜のいいところ、いわゆる神髄をしっかりと繋いでいます。好きな作品です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます