どう考えてもパス映画だなあと見る気はなかったのであるが、好きな劇団員が大挙出ているので見る。しかし、これが拾いものの映画(と言っちゃあ失礼か)。結構丁寧な作りで登場人物の多さをうまく紡いでいる。
まず大きな喫茶店で女二人と男のバトル。男を寝取る卑しい女にあの、癒し系の【安めぐみ】さま。これだけでこの映画の演出がホンモノであることを見せつける。でもさすが、【安めぐみ】さまは厭な女にそれほどなれず、、。(でも、それでいいのだ)
儲け役というか、実質的な主人公である【宮本信子】。彼女はこの映画の進行役でもある。彼女の辛辣で真実の言葉はかなり登場人物たちに影響を与えるも、でも彼女自身の嫁・姑の問題は結局解決していない不合理に後で気づく。
おばちゃん軍団との付き合いに悩む平凡な主婦【南果歩】。最初誰か分からなかったほど平凡であることを意識する演技っぷリが冴えている。でも彼女の話が一番平凡な悩みでもある。それより、勢い付くおばちゃん軍団のエネルギーがすさまじい。これは決して映画だけのこととは思えない凄みがある。(だから彼女たちは映画でもへコたれず、現在でもどこかまだ徘徊していることだろう。)
その他、大学生との半同棲に悩む女子大生、社会人と女子高生とのピュアな恋愛、一見オタク同志に見える素敵なカップル大学生、白装束で討ち入りを決めるも空しくなるOLと、年齢は違えどイジメで幼くして生きるのに息遣いが荒い小学生。
などなど、最初の話が最後にまで連鎖していき、これだけの登場人物とそれぞれのエピソードをググイと締め付ける演出はただモノではないほどの勢い。登場人物はみんな市井に生きている人たちであり、それぞれが身近に感じている人生の悩みのオンパレードを示す。大きくはないが、卑近で小さな悩みが世の中を覆っていることも事実なのだ。
すべてほろりとするシーンが多く、人間って、年齢にかかわりなく悩み続ける存在なんだなあと改めて思う。結構いい映画なのである。やはり映画は見てみないと分からないですね。平日なのに客席は満席でした。
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