セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 94本、 演劇 72本

グロリアの青春 (2013/スペイン=チリ)(セバスティアン・レリオ) 70点

2014-03-12 14:05:53 | 映画遍歴

まあベルリン映画祭で主要な賞を受賞、といえば映画オタクを標榜する僕は気になりますよ。そして題名は「グロリア」。あのカサベテス(奥方ジーナ・ローランズの映画といってもいい)の永遠作も同名。これを見ずして、、。

ファーストシーン、トンボ眼鏡を賭けた大年増女性(実女と言えばいいのだろうか)のクローズアップ。さて何か群がる男と女。ダンスホール。会場はでも何故かシニア年齢クラスが多い。日本で言うとケントス? でもこのバーは男と女が何かを求めるところっぽい。

このトンボ眼鏡から何故かダイアン・キートンを思い起こす。そういえばダイアン・キートンも「ミスター・グッドバーを探して」で毎夜男を求めていたっけ、昼は殊勝な高校教師。夜になると寂しさにかまけてバーで男を探す。そんなテーマが当時若い僕にはとてもグーだった。

でもこんなバーだったかな、もっと狭くむんむんした若い男女しかいなかったよなグッドバーだったよね。そんなことを連想し早くも僕の心はこの映画を離れかけてる、、。

シニア年齢といっても女はまだイケテル風。でも男は完全ご老人だ。とうに60は超えてるだろう。このカップルの異様さが僕は気になるのだ。年齢的には二人は合うのである。女は60前。男は60歳半ば。ベッドシーンを見ても女はまだイケテルが、男は完全ご老人のぶよぶよ体。少々キモイのである。(すでに老人たる僕が言うのもおこごましいが)

これが、相手が例えば一回り下の男だったらまだ見栄えもいいだろうに、、。(でもテーマ的に少し外れるかもしれないけどネ。)

男は優柔不断である。でもその理由を男の性格・生業のせいだと女は思っている。自分のせいだとはこれぽっちも思っていないKY女でもある。(男が元妻に見せる女への不義理と同様のことを自分の元夫への態度から明らかにしている。)

あの、はっきり言いまして、この映画、映画祭的には受けることは理解できる気もしますけれど、観客として(ぼくが)見ていて面白くなかったのは事実であります。別にどうっていう映画ではないのではないか。年をとっても恋愛はするだろうし、行為が若い男女と経過がそれほど違わないのもそういうこともあるだろう。

高級リゾートホテルで例のごとく携帯で呼び出されて家に帰ってしまう男。女は荒れて、しかししっかりと男を咥えて大荒れの朝帰り。しかし何と男はチェックアウトもせずホテルを引き払っていた。しかたなく女はメイドに財布を持ってきてもらう始末。女もここまでのひどさとは思わなかったのだろう。僕も大層驚いたが、男の狡猾さが印象に残るシーンである。

60前のキャリア女の新たな青春とさらなる生きざま、、。とか何と言っても、この老いらくの恋愛を、こういう風に(若い人と同じくダイナミックに)描いた映画があまりなかった、すなわちこの映画はスキマ映画に思えてしまうんです。(意図が目立つというか)

この作品の、60歳前後の恋愛を扱うという点(従来も老いを前提の恋愛映画はあったが)を外せば何ら普通の恋愛映画と変わらない。題名通りグロリアは一時でも青春を感じたのなら、それはそれで、その時は充実したのだろう、恋愛ってそういうものだろう。それでいいではないか。

とはいうものの、あのかっこいい「グロリア」のジーナ・ローランズからはじまり、若き日のダイアン・キートンへと紡いで行った僕の気持ちは見事に裏切られた。実女のイライラを見させられる苛々と、頻繁に鳴る(早く出て止めればいいのに)あの携帯の音がさらに僕の苛立ちを倍増させる。(映画館では観客に止めているのに何故堂々とスクリーンでやるのかよ→こうなったら完全被害妄想)

女性とはかなり受け取り方が違うかもしれませんな。(いや、そんなの僕だけだって? どうもすいません。)マイナーな意見もありということで、、。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ラッシュ/プライドと友情 (2... | トップ | それでも夜は明ける (2013/米... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画遍歴」カテゴリの最新記事