「さらば冬のかもめ」風ロードムービーです。おじさんたちの青春はまさにベトナム戦争での死を賭けた闘いのもとで育まれたもの。それは30年の歳月を過ぎても風化することはなかった、、。
いい話なんだ。でもそれらは常に死をまとっている。20歳頃だった彼らはすでに初老の年代。上りは少なく、これからは駆け落ちる急な下り坂が待っているはず。
2日前に息子を亡くした男の掛け声でまた昔のよりを戻していく過程が素敵だ。人生の困難な中、みんな同じ方向を見つめていた瞬時を知っている者たちには、30年という時間はそれほど問題にはならなかった。
男というものは戦争という軍隊にいようと、会社組織の中の企業戦士であろうと、常に少年の心を持っているものだから、いつでも「その時」に戻ることができる。息子を亡くして絶望の淵にいる男でさえ、軍隊での馬鹿話、下ネタ話に話を咲かせるのである。
女性どもには分からないだろうけれど(え?そうでもないって)、男性にとってこういう時間は最高に至福の時なのである。いわゆる男は幾つになっても子供(よく言えば少年)なのである。ベトナムディズニーだとか、出始めの携帯電話ショップの挿話なんかは、ホント男性にとっては目頭が緩む瞬間である。
そして最後に息子の葬儀シーン。泣かせるねえ。いい子だったんだねえ。僕にも息子がいるので、他人ごとではない思いがしました。
けれど、リンクレイター、全体を通して少々演出が切れてない感じもした。つらい話を映像ではなく、すべて人の会話で通してしまったが、ちょっとメリハリに欠けた感もあります。惜しい作品です。
でもこの題材、ほんと男たちにとっては泣けます。いい映画です。
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