セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2025年 映画 06本、 演劇 03本

N (道尾秀介)(集英社 2021) 85点

2022-03-27 17:39:30 | 読書遍歴

体裁から何通りも読めるという話題の書だが、どの編からも入っていけるというのは、読み終えた後でも、何回も後で再読できるといった今までにない取り組みを考えたからではないでしょうか。ほんと、そっとまた読んでみたい本です。私の蔵書になるべき本です。

6編、どの小説も弱者が登場する。この世を、この人生を混じりけなく見つめることができるのは彼らだけであるとでも言いたげな、底流に透明な人生観が流れている。このフォーカス感が素晴らしい。そして、道尾秀介がこの位置にとどまっていてくれていることが実にうれしい。

それぞれの6編は道尾からいただいた宝石箱のような淡い色彩を伴って透明感が底流に充満している。素晴らしい出来である。


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